COLUMN

環境との共生

一般に環境と共生する家のことを「環境共生住宅」といいますが、環境共生住宅には大きく3つのポイントがあります。

1つめは雨・風・太陽・植物などの自然の恵みを生かすということです。 雨水利用や太陽光発電、窓の切り方で風を呼び込み、防風林や屋根緑化などによる自然災害への備えなどがそれにあたります。

2つめは土地の履歴や土地の人の気質を大切に考えるということです。日本でも自然風土は地域によって千差万別ですから、お住まいの地域の季節ごとの風の強さと方向、気温と湿度、日照時間と太陽高度など考慮すべき点はたくさんあります。使用する建材も、できればその土地のものが望ましいでしょう。 特に木材などの天然建材は土地の自然風土になじんでいるため、地場産が長持ちするといわれています。

3つめのポイントは人に優しい素材を選ぶということです。 健康を損なう恐れのある建築素材は使わずに、極力自然素材を使うことが望ましいでしょう。
人間に悪影響を及ぼすものは、地球環境にとっても悪影響を及ぼしています。 例えば、化学塗料の溶剤にはトルエン・ベンゼンといった揮発性の物質が含まれています。
これらの物質は中枢神経作用・皮膚・眼刺激・粘膜刺激などの毒性があり、飛散すれば光化学スモッグの原因になります。

家相・風水

風水とは中国の風俗習慣から生まれたもので、風の動きや水の流れ、山の頂き等、自然が作り出す気の充実する場所を感じ取り、聖地に死者を埋葬するために考え出された術であり、この考え方に「地理」と「陽宅」を加味したものが、現在の「風水学」です。
日本では、中国の風水学程体系だてられたものではなく、自然の摂理を感覚として捉えられていた様です。
そこへ風水学を取り込んで家相学の一大体系である営造宅経(えいぞうたくきょう)を作り出しました。
家相学とは自然の法則に従い大切なエネルギー(気)をどう取り込み、不浄なる気をどう止めるかが重要なのです。
現在の住宅は昔のものとは変化しています。一概に鬼門線上にあるからNGというのではなく、その土地その場所に、どんな風が流れどこが淀んでいるのか見ることが本来の家相風水なのです。

シックハウス

建築材料の中には汚染物質を放出するものがあります。室内の空気が汚染されると、人の呼吸器系、血液と循環器系などに重大な影響を与えます。
空気中の汚染物質は主に①ホルムアルデヒド、有機化合物、窒素、硫黄オゾン等の化学物質、②ガラス繊維、アスベスト、重金属等の無機粒子・繊維状物質、③花粉・カビ・粉塵等の有機粒子状物質、④バクテリア、細菌、ウイルス、ダニ等の微生物・細菌類に分けられます。新型コロナは④の細菌に当たります。
これらの物質を日常的に吸引することでシックハウス症候群・化学物質過敏症など様々なアレルギーを引き起こします。
2003(平成3)年3月20日施行の建築基準法改正により日本ではFフォースター(F☆☆☆☆)ホルムアルデヒド拡散速度0.005mg/m2h以外の建材の場合、使用面積の制限が出来ました。しかし言い換えればFフォースターであればいくらでも使っていいということになります。
シックハウスや過敏症の程度や症状は個人差が大きく、反応する物質も異なります。不特定多数が出入りする商業施設などでは一定の基準で設計せざるを得ませんが、住宅の場合は住む人に合わせる必要があります。すでに発症している方や花粉症などのアレルギーをお持ちの方はFフォースターを使っているから安全だと思わず、必ず自分に合う材料なのかを検証してください。

ローコスト住宅

最近よくローコストでお願いしますと言われることがありますが、私の考えるローコスト住宅の定義はある一定の基準以上の性能及び仕様・設備を取捨選択し出来るだけ安価で建築するものであり、安かろう悪かろうの住宅、すなわち誰が見ても安く見えるものは「安普請の住宅」と呼び、ローコストとは分けています。
この住宅がこの金額で!というものがローコストであり、坪80万の家でも坪100万以上に見えるのであればローコスト住宅なのです。
一般的にHMや工務店のローコスト仕様は自由設計(完全注文住宅)を諦めることで、仕様をスリム化して安くしています。
設計事務所は世の中に存在する全ての材料・素材から選べますので、完全注文住宅であり他に存在しないローコスト住宅になります。
住宅に合わせて生活するより、ライフスタイルに合わせて住まいをお考えの方は設計事務所をご検討してみてはいかがでしょうか。

インスペクション

アメリカやイギリスなど西洋では中古住宅を購入する際には建物の構造・内外装・設備などについて状況調査(インスペクション)を行うことが買主の権利と責任として認知されています。日本でも2016年3月に閣議決定された「住生活基本計画」において制度化され、建築士が既存住宅状況調査技術者として講習登録をしています。背景には空家の増加と中古住宅の価値向上がありますが、今後不動産業界でも売買契約時の必須項目となっていくと思われます。具体的には屋根・外壁・室内・小屋裏・床下などの劣化状況の目視確認が基本となります。
各部分での蟻害・腐食・傾斜・ひび割れ・雨漏り・害獣被害を確認し、設備機器や配管の損傷・劣化、漏電など全般に調査します。
2018年4月の宅地建物取引業法改正では中古住宅取引時に調査技術者のあっせん・状況調査を行った場合の重要事項説明書による説明・売買双方が確認した書面を交付するなどが宅建業者に義務付けられました。

長期優良住宅

従来型のスクラップ&ビルドからいいものを造って長く大切に使うストック型の社会のため「長期優良受託の普及の促進に関する法律」が2009年6月に施行されました。認定基準としては①バリアフリー性②可変性③耐震性(等級2以上または免震構造)④省エネルギー性(省エネ等級4以上)⑤居住環境⑥維持保全⑦維持管理・更新の容易性⑧劣化対策(床下330mm確保、劣化等級3相当)⑨住戸面積(一戸建て75m2、ワンフロア40m2以上)を満たしていることとなっています。一般的に住宅金融支援機構のフラット35や50の住宅ローン仕様を満たしていればほぼOKです。
様々な税制の優遇などもあるので、詳細は長期優良住宅の申請が出来る設計事務所にご相談ください。(弊社も可能です)
長期優良住宅のデメリットは何といってもコストが掛かるという点です。一概には言えませんが工事費は約1.2~1.3倍程度になると思われます。
また10年以内毎に点検を行い、修繕・改良をして記録を作成・保存を30年に亘って行う必要があります。
但し最近の住宅は長期優良でなくても耐震性・省エネ性などを考慮していますので、ご自身の生活スタイルなどに合った選択をしてください。